2026年5月 福島県飯坂温泉「摺上亭大鳥」
カナダ在住のおふたりが選んだのは、福島県・飯坂温泉の「摺上亭大鳥」。新郎はロシア(ヤクート)出身、新婦は埼玉県出身。親族・友人あわせて70名が日本各地・海外から集まり、日本とロシアの文化が交差する、唯一無二の1泊2日の結婚式となりました。

海外在住でも、準備はできる。問い合わせのきっかけ
温泉ウエディングへの最初のお問い合わせは2025年3月。「海外在住でも準備は可能ですか?」というご質問からはじまりました。国際結婚のため海外など遠方から来られるゲストが多く、宿泊施設での結婚式を考えていたおふたり。以前、タイで開催された友人の結婚式に宿泊で参加した経験もあり、温泉旅館での滞在型ウエディングのイメージが自然と浮かんでいたそうです。
カナダと日本の時差を考慮しながら、オンライン打ち合わせはいつもカナダが夜・日本が午前中という時間帯で行われました。一時帰国のタイミングには石川の弊社アトリエにも足を運んでくださり、直接お会いできたことがスタッフにとっても嬉しいひとときでした。「次は結婚式でね」とお見送りしたあの日から、準備はさらに加速していきました。
会場選びのポイント──旅館と神社、同時並行で探す
おふたりの希望は神社での神前式と、雅楽の生演奏。東京からアクセスしやすいエリアを軸に、福島エリアや鬼怒川など複数の温泉地をご提案しました。旅館の候補選定と並行して、最寄りの神社も同時にリサーチ。新婦は学生時代から音楽を学び、民族音楽を研究されていたこともあり、神社を選ぶうえで雅楽の生演奏があることも大切な条件のひとつでした。
「摺上亭大鳥」をご紹介する際には、温泉ウエディングの公式YouTubeで旅館を取材した動画もあわせてご案内しました。館内の様子や雰囲気を事前に確認できたことで、おふたりもすぐにイメージを掴んでいただけました。予算面でも条件が合い、すぐに日程と会場を決定。その後、一時帰国のタイミングで実際に宿泊し、温泉や日本酒、旅館スタッフの温かさまで体感されました。


下見を終えた新婦からのメッセージが届きました。
大鳥さん、とてもよかったです。さまざまな客室や大広間などを案内いただいたり、実際に泊まって温泉や日本酒を堪能したりと、有意義な時間を過ごせました。福島駅周辺のお土産スポットの事前下見もできたのもよかったです。案内してくださった方はもちろん、受付の方や朝ごはん担当の方も、とても話しやすい良い方たちばかりでした。
海外ゲストへの配慮──旅館選びの段階から始まる準備
今回は70名のうち多くが海外からのゲスト。温泉ウエディングでは、旅館を探す前にゲストの情報を把握することからはじめます。ゲストの国籍や文化的背景、食事の制限、大浴場への慣れなどを丁寧に確認した上で候補を絞り込んでいきます。インバウンド対応に慣れた旅館かどうかも、重要な選定基準のひとつです。
海外からのゲストが多いことを考慮し、宴会場は絨毯のパーティースタイルを選択。この会場は畳・絨毯どちらにも対応できる可変式で、ゲストや結婚式のスタイルに合わせてレイアウトを選べます。温泉ウエディングでは「旅館だから畳の宴会場」という固定概念ではなく、どんなゲストをお迎えするかを大切に会場づくりを考えています。
挙式──福島稲荷神社での神前式と、雅楽の生演奏



挙式は福島稲荷神社にて神前式が執り行われました。神聖な空間に雅楽の生演奏が響き、厳かな雰囲気の中でおふたりが誓いを交わしました。新婦が長年研究してきた民族音楽への想いが、この挙式にも自然と重なるような、特別なひとときとなりました。旅館から神社への移動はチャーターバスで対応し、親族25名が参列しました。
披露宴──日本とロシアの文化が交わる宴
披露宴は、日本の文化とロシア・ヤクートの文化が自然に溶け合う、他に類を見ない宴となりました。
宴会場の入口では、ゲスト全員が「サラマー」に参加。サラマーとはヤクート族に伝わる伝統で、白黒の馬の尾でできた縄に願いを込めてリボンを結びつけ、自然の神イッチにお祈りを捧げるもの。これからのふたりの人生がより良いものになるようにと、ゲストひとりひとりが幸せを願いながらリボンを結びました。
会場のレイアウトは、新郎新婦のそばにご家族のテーブルを配置。家族との時間を大切にする欧米のパーティスタイルを取り入れ、食事や会話を楽しみながら自然と交流が生まれる温かな空間となりました。



お色直し入場時にはおふたりからゲストへ赤ベコのカプセルトイを配りながらの入場という福島らしいユニークな演出も。席札には、新郎新婦がゲストとともに撮影した思い出の写真を使用。懐かしい写真や最近の写真など、ゲストとの思い出が詰まった一枚が席に添えられ、披露宴後はそのままゲストへのプレゼントとなりました。
終盤では、ヤクートに伝わる伝統の踊り「オソーハイ」が。ゲスト全員が手を繋いで大きな輪を作り、新郎のお母様の掛け声に合わせて踊る姿は、言葉を超えてひとつになった瞬間でした。
披露宴後・翌朝
披露宴が終わった後も、宴の余韻は続きました。温泉でゆっくりと体を癒した後、客室にて二次会。お酒を片手に、各国から集まったゲスト同士が自由に語らう時間となりました。翌朝は各自の好きな時間に朝食へ。JA共済グループの宿泊保養施設ならではの、野菜中心のヘルシーなバイキングが並びました。
温泉ウエディングスタッフより
温泉ウエディングでは、おふたりのご希望だけでなく、「どのようなゲストをお招きするのか」を最初に詳しくお伺いしています。
ゲストはどこから来られるのか。ご年齢や国籍、ご家族構成はどうか。アクセスのしやすさはもちろん、お食事への配慮、言語対応、大浴場(温泉)への文化的な違いなど、ゲストによって必要な環境は大きく異なります。
特に海外からお越しになるゲストが多い場合は、アクセスや言語だけでなく、食文化や滞在スタイルへの配慮も欠かせません。そうした内容を丁寧にヒアリングした上で、おふたりにもゲストにも最適な旅館をご提案しています。
準備や当日の運営も同様です。例えば、通常の旅館案内とは別に、結婚式当日の流れや館内での過ごし方をまとめた「滞在のしおり」を作成するなど、ゲストに合わせてご案内や制作物の内容も調整しています。
今回の結婚式では、カメラマンを新婦のご友人であるプロのカメラマンが担当されました。温泉ウエディングでは、カメラマンやヘアメイクなど、おふたりが信頼する方へのご依頼も可能です。その場合も事前にオンラインで打ち合わせを行い、当日のスケジュールや撮影内容、動線を共有しながら、一つのチームとして準備を進めています。
また、披露宴では日本語・ロシア語・英語が飛び交う国際色豊かな一日となりました。司会は日本語で進行し、スピーチや進行内容はスクリーンを活用して多言語で補足。言葉の壁をできるだけ感じることなく、すべてのゲストに楽しんでいただけるよう工夫しました。



当日も、海外ゲストの移動や受付がスムーズに進むよう、多言語対応の乗車名簿を作成してバス会社と共有。また当日は、海外からお越しのゲストが、お一人で衣装店へ着物を借りに向かわれる場面もありました。衣装店から連絡を受け、着付や移動方法をその場で調整し、無事に挙式へご参列いただくことができました。結婚式では、どれだけ準備を重ねても予想外の出来事は起こります。だからこそ、ゲスト一人ひとりに寄り添い、その場で柔軟に対応できる準備と現場対応力を、私たちは何より大切にしています。
日本の伝統文化とロシア・ヤクートの文化が自然に交わり、国籍や言語を越えて一つの輪となった今回の結婚式。おふたりらしさだけでなく、ゲスト一人ひとりへの思いやりが随所に感じられる、忘れられない一日となりました。
詳細データ
開催日:2026年5月
場所:福島県 飯坂温泉
会場:摺上亭大鳥
挙式:福島稲荷神社(神前式)
披露宴:宴会場
参列者:70名(新郎新婦含む)/親族・友人